2006年10月30日(月)
ワタシハココデナニヲシテイルノカ [タイで生活]
通信制大学の学期末試験で、すごい難問に出会ってしまった。自分の人生が揺さぶられるような衝撃を受けた。
試験中、試験監督者が受験者の席の受験票と学生証とIDカードを照合する。学生証が身分証の代わりになるはずなのに、なぜIDカードとの照合が必要なのか謎なのだが、とにかくそういうことになっているのだ。外国人である私はIDカードがないので代わりに机の上にパスポートを出しておく。
どの監督者も私の席まで来ると必ずIDカードを見せるように言う。私はIDカードはないから代わりに、とパスポートを提示する。すると監督者は私が日本人であることに気づき、お決まりの質問が始まる。
タイに語学留学される日本の方も多いし、チュラロンコン大学にも日本の留学生の皆さんがたくさんいるということだ。タイの大学で勉強する外国人も珍しくないだろう。しかもここは通信制大学。試験会場にはお坊さんの姿もチラホラ。学生というには年齢層の高い方たちもたくさんいらっしゃる。その中に混じっての日本人なので、それほど珍しい存在ではないと思うのだが、やはり外人に会うといろいろ質問したくなるものらしい。
美容院や市場でも繰り返し受ける質問をここでも繰り返される。
タイはもう長いの?タイ語はどこで勉強したの?
私は(私は試験を受けているの。放っておいて)と思いつつもお決まりの答えを返す。
日本でタイ語を専攻していました。タイは8年になります。
たいていはそこで満足して立ち去ってくれるので、私は試験に集中できる。昨日もそうだった。
お決まりの質問の後は試験に集中することができた。心地よい疲労感とともに解答用紙を試験監督者に提出し教室を立ち去ろうとしたところ、試験監督のおばちゃんはこう言った。
「それであなたはここで何をしているの?」
一瞬、頭の中が真っ白になった。
ワタシハココデナニヲシテイルノカ?
ここまで回答に困る質問は初めてかもしれなかった。
本当に私はここで一体何をしているのだろう?何でここにいるのだろう??何のためにここにいて、何をしているのだろう???
足元から巻き起こった竜巻に飲み込まれそうになって、慌てて困ったときのお決まりの回答を口にした。
「サーミー・ペン・コン・タイ・カ(夫がタイ人だから)」
これだけ言うとおばちゃんは納得したのか大きくうなずき一人で解説してくれた。
「なるほどなるほど。タイ人と結婚したから日本からタイにやって来て、タイで暮らしているのね」
私はウンウンとうなずいて、おばちゃんにさよならを言って帰ってきた。
・・・危ないところだった。あやうく哲学の迷路に入り込むところだった。
私はタイで何をしているのか・・・。
心に響く問いかけだった。
Posted by てんも at 00時15分