優先順位と平行作業
学生の頃、タイからの留学生と知り合った。
彼女は私のいた大学の日本語学科に日本語研究に来ていたのだった。
知り合ったのは、彼女が日本に来た直後のこと。
話していて驚いたのは、彼女がまだ自分の住むアパートも決まっておらず、友人の家に居候していたこと。それなのに、すでに大学の講義を受講しに来ていたこと。
・・・心の底から感嘆した。
私ならきっと、住む場所を探して、大家さんとの契約を済ませ、アパートに荷物を運び込み、生活に必要な数々の用品(フライパンとかシャンプーとか)をそろえ、「よし。これでなんとか生活していけるぞ」と落ち着くまでは、学校に行こうなどとは考えないだろう。と思った。
それなのに彼女は、アパートを探している最中で、自分の荷物もダンボールから出ていない状態で、まずは講義を受けに来ていたのだ。
そんな彼女の姿勢に驚嘆するとともに、さすがに、海外に留学に来るような優秀な人は違うなぁと感心したことを覚えている。
私のように「まずはこちらを片付けてから」「こちらが落ち着いてから」というのはつまり、「一度に一つのことしかできない」ということかもしれない。
急に学生時代の出来事を思い出したのは、先日も「できる人」の仕事の進め方を見せ付けられた出来事があったから。
尊敬する我が師は、顧問として、講師として、日本各地を飛び回っている。どこにでもPCを持ち歩き、どこに行ってもメール返信、原稿執筆をいつもと同じペースで続けている。
そして、出張先から、二日前に私に書くと言ってくれたばかりの原稿を送ってくれた。
「は、早いですね。・・・いただけるのは、ご自宅に戻られてからだと思っていました」
「送ると言ってから、もう二日も経っているじゃないか」
「・・・(絶句)」
一方私は、といえば、同時期に我が師に送ると約束していた資料を、まだまとめてもいなかった。
わが師=アウェー(出張先に滞在中)
私=ホーム(事務所から移動せず)
この差は一体・・・。
ものすごく恥ずかしくなって、その夜のうちに資料をまとめて我が師に送信した。
環境の変化に動ずることなく、優先事項を見失わずに平行して物事を進められるのは「できる人」に共通した特徴だと思う。
私も、優先事項と平行作業を常に意識しながら行動していこう、と心に誓った。
コメント
てんもさんの我が師。時間を友好的に使いこなせるひとほど、なにごとも成功するのかもしれませんね。
投稿者: ポォ | 2005年12月23日 11:51
タイ人って日本人以上に個人差があるのかな〜。
私も日本で知り合ったタイ人(朝は新聞配達、その後学校、そして夕刊の配達、でタイ料理屋でバイトしてた)をみてタイに来てみたくなりました。
投稿者: noina | 2005年12月23日 14:08
私は30歳の時に過労で倒れてそれ以来無理が効かない身体になっています。がむしゃらに力一杯仕事をしている後輩を見ると羨ましいですね。
普段 私は時間を有効に効率良く使って早く仕事を終わらせる事を意識しているつもりなのですが、てんもさんの我が師 さんの仕事ぶり興味有りますね。
投稿者: うえの | 2005年12月23日 16:24
ポォさん
そうですね。時間は誰にでも平等に与えられていますから。あとは、使い方なのでしょうね。
noinaちゃん
実際に来てみて、働き者の国に来たはずが・・・って思った?(笑)
うえのさん
私は、うえのさんの心がけてらっしゃる、時間の有効活用が一番だと思います。きっと、我が師はスッと仕事に取り掛かれるのだと思います。私は、ついダラダラしてしまいますが、そういうのがないのだと思います。
あとは、蓄積された経験でしょうか・・・。同じ文献を読むのでも、その方はすでに似たような内容を以前読んだことがあって、興味のある部分のみを重点的に読んだりします。私は最初から最後までじっくり読まないと理解できないので、時間が2,3倍かかります・・・ということなんだと思います。
なにしろ、我々の世代が生まれた頃には仕事を開始されていた方ですから、年季が違います(笑)
ちなみに、その方もきちんと睡眠取られています。
今後も、長期間使っていくのだから、自分の体に負担かけない方法が一番だと思うな〜。
投稿者: てんも | 2005年12月23日 22:57
てんもさんの日記。
忘れていたことを思い出させてくれました。 ありがと!
投稿者: らぴ | 2005年12月24日 10:35
らぴさん
どういたしまして。
学んだことをシェアさせていただくことは、私にとっても貴重な作業ですし、らぴさんのようにフィードバックをいただけるのもとても嬉しいです(*^_^*)
投稿者: てんも | 2005年12月24日 21:45