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最後の講義

近所の大学の日本語科の先生に、「通訳のこころがまえ」というテーマの授業を頼まれて、お引き受けしたのは去年末のこと。
じつは、その講義は2回セットだった。だからちゃんと2回分用意しておいたのだけれど、教壇に立つのは久しぶり。タイに来る前にしばらくやっていた塾の講師以来。
しかも、教科書なしで、なんでもいいから話してください、という、いわば講演会のような形式ははじめて。

と言うわけで、なにやらものすごいスピードで授業を進めてしまい、2回分の予定だった内容を1回で全部終えてしまった・・・(泣)
もう、話すことないよ。2時間も、どうしよう・・・。

いくら考えても、通訳者の心がまえとして伝えておきたいことはすでに伝えつくした。
本当に、何を話していいのか分からない。
正直、謝って、お断りしてしまおうかとも思った。

ああ、どうしよう・・・
と、困っている時に、目の前を本職の大学の先生が通り過ぎた。ぷーちゃんである(笑)

代わりに教えない?
いやだ

即答である。ちぇっ。
でも、ぷーちゃんにヒントをもらった。

自分で話さなくてもいいんだよ。課題を与えて、学生に練習させればいい

このヒントにより、なんとなく、どうにかやれそうな気がしてきた。
そして、講義当日。講義スタートは午後からだけれど、朝から授業の準備。会社の仕事などしている場合ではない。

開始ギリギリまで準備して、なんとか2時間終えることができた。

う〜ん!さわやかな達成感!!
そして、思った。
これは、今やるべきことじゃないなぁ。
翻訳・通訳の仕事と先生の仕事は、私の中では両立しない。使うエネルギーが全く違う。

学生はみんな可愛い。目をキラキラさせて、熱心に話を聞いてくれる。彼らと一緒に過ごした時間はとても充実していた。
あと数回続ければコツも覚えて、あまり予習に時間をかけなくても、ぷーちゃんのように平気で2時間話し続けることもできると思う。

それでも、やっぱり、今はまだ、アカデミックな世界は私の進む方向とは違う気がする。

日本人の先生は少ないから、週にいくつか授業を受け持ってくれたらすごく嬉しいんだけど。

とも言っていただいたのだけれど、お断りすることにした。

また、時期が来たら、お引き受けさせていただくこともあるかもしれないけれど、今はビジネスの世界に集中することにした。

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コメント

私も、教えるより自分でやる派です。
特に大勢を前にした講義(私の場合はプレゼン)は苦手です。
でも、本職の先生のアドバイスはさすがですね。ツボを心得ている。私も前半を読んでいて生徒に演習させて解説すればいいんじゃないと考えました。

これは場を多く踏むのが一番だと思いますよ。私も以前は人前で話すのが苦手でしが、あるとき、300人近くの人を前に話さなければならなくなり、その経験をした後、あまり苦にならなくなりました。

人に教えることってとても難しいことと思います。
ぷーちゃんはさすがだね。
てんもさんは、先生向きだと思うけどな。

なんでもいいから話してって言われるのが一番難しいのにやりとげたんだね〜!
尊敬〜!

うっちさん
本職の先生は、後になって「あ、日本語学科は女の子の学生がたくさんいるんだった。行けばよかったかな」などと言ってます(ーー;)

カエルさん
我が師は、2時間なら2時間。40分なら40分でぴたっと話を終えることができます。やはり場数が大切みたいですね。300人というとずいぶん広い場所で話をされたのですね。

COCOさん
私は、教えるのは結構苦手。
自分でやる方が楽。その割に、塾講師とか家庭教師とか、教えるバイトばかりしていたけど・・・。でもやっぱり、トンカツ屋でバイトした方が楽しかったよ(笑)

noinaちゃん
ありがと(;_;
もう、ほんと、何話してもいいって言われるほど困ることはなかったよ。
でもなんとか頑張ったよ(;_;


”心に響く言葉”を見つけるのは本当に難しいよね。。。

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