« ためらいの瞬間 | メイン | 切実な願い »

モーリさんの不在

数日前から、モーリさんが友人と旅行で不在。
モーリさん出発の翌日、ぷーちゃんに言って、無事に到着したかどうか電話をしてみた。
ぷーちゃんは、「さっきおじいちゃんが電話をしたらもう着いたっていってたから、わざわざ電話しなくてもいいんじゃないの?」
などという。

着いたかどうかは問題ではないのだ。

心配して電話をかけてきた。という事実が大切なのだ。
と言うわけで、面倒がるぷーちゃんにはっぱをかけて、電話させた。

でも、そこまで。
本当は毎日様子を尋ねる電話をかけてあげた方が喜ばれるのは知っている。
でも、かければどういう展開になるか。それが分かっているだけに、実は私も億劫なのだ。
モーリさんはきっと、挨拶もそこそこに、孫に代わって、と言い、
「キットゥン ヤヤー マイ?」と聞くのだ。
そして、半ば無理矢理子供達に「キットゥン」と言わせ、喜ぶのだ。
それから嬉しそうに、周囲の人々に、自分がいないと孫が寂しがって、自分に会いたがっている、と言うのだ。

「おばあちゃんに会いたい?」
と聞かれて、会いたくないと答える子供はいない。
子供は鏡のように大人の希望通りの答えを返すものなのだから。

答えが分かっていながら、なぜ毎回のように同じ質問を繰り返すのか。
それが一つのコミュニケーションであり、本人は無邪気なだけで悪気は全くない、ということは承知しているけれど、それでも、そういうシーンを目の前で展開されるのはあまり気持ちの良いものではない。

「誰のことが一番好き?」
子供に聞いてはいけない質問の一つ。とされているこの質問も、タイでは頻繁に口にされる。
最初モーリさんが子供にこの質問をしている時には、さすがに焦った。
大人だって、こんな質問をされたらかなり困る。
親のことも大切だし、恋人のことだって大切。どっちが大事なの?と言われたら困るじゃないか。

だから、日本の育児雑誌の育児相談コーナーあたりには、子供を困らせる質問はやめましょう。と解説されている。こんな質問をするのはモーリさんくらいで、他の人はしないんじゃないだろうか。それくらいタイでも常識じゃないのかしら?と思い、ためしに同僚に聞いてみた。

「自分の子供に、誰のことが一番好き?って、聞く?」
その時、自分の想像と正反対の答えが返ってきて、私は同僚の答えに絶句してしまった。
「聞くよ。毎日聞くよ。私は母親なんだから、母親を一番好きと言わせるに決まっているでしょ。」

そっか。日本の常識はタイの非常識。

その後も度々、この質問を耳にした。
保育園の保育士さんたちでさえ、冗談半分に、「誰が一番好き?」と子供に答えさせる。

ある時、保育士さんが笑いながら言った。
「誰が一番好き?と聞くと、その場にいる全員の名前を言うんですよ。本当に賢いわ」

その時、私は学んだ。子供はたくましいのだ。そして、もしかすると大人よりずっと、大人なのかもしれないのだ。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.tenmo.net/mtb/mt-tb.cgi/118

コメント

あっけんも子供に聞いてしまうよ!

もちろん。”ママ”って言わせるためにね!

私ってやっぱりタイ化してるのかな。。。

それに、毎日、「愛してるよ」って子供たちに言っています。

子供の頃、母に「おばあちゃんに一緒に住んで」って言ってと言われて仕方が無く言ったことがあるます。
すっごく嫌だった。。。
ちょっと思い出しました。

あっけん
私が日本にいた頃は、その質問は「禁句」だった気がするよ(笑)
でもあっけんらしくていいね。

noinaちゃん
子供は自分の気持ちよりも周囲の気持ちを優先してしまいますものね。優しいよね。

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたとがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)