タイと言う国は、「マイペンライ」な国で、ファジーなところがあるお国柄だと思うのだけれど、すっごく頑固で融通が利かないのがいる。
「ちょうどいい」が通じない相手。
それは、エアコン。
つけると、寒い! 消すと、暑い!
どちらも嫌だけれど、暑くて汗をかきながら仕事をするのは嫌なので、寒いのを我慢して仕事をすることになる。 そして、部屋から出たとたん、外の空気に触れて、自分の体がいかに冷えているのかを実感する。
タイに来たばかりの頃、冷房の効きすぎたレストランで食事をしたことがある。
入ったときから「寒い!」と感じたけれど、その後もどんどん、どんどん寒くなる。
ぷーちゃんにお願いして、店の人におねがいしてもらった。
「冷房を弱くしてください」
店の人の返答は
「できません」
というものだった。
温度の調節ができないタイプのクーラーなので、消すと他のお客さんに迷惑がかかるから、消せない。と。
でもね、尋常な寒さじゃないのよ。手がぶるぶる震えて、ついには、手先の感覚がなくなった。
必死で手をこすり合わせても、何も感じない。
このままでは、まずい。
本気で生命の危機すら感じて、店を飛び出した。
店を出た途端に、ホッとして、後から後から涙があふれてきた。
周りの空気を暑いと感じることが出来たのは、店を出てから5分たった頃だったろうか。
それまでは、暑さを感じることもできなかった。
すごい勢いで店を飛び出した私を見て、周囲は私がぷーちゃんとケンカしたのだと思ったらしい。
あとで、ぷーちゃんパパに教えてもらった。
タイの人は、寒い部屋でも耐えられるように、店に入ってすぐ、ビールを飲むんだよ。
そうすれば、寒くないから。
かなり信憑性に欠ける説明である。
その時は、
温度の調節ができないなんて、そんなバカなクーラーがあるものか。
と怒ったものだったけれど、今事務所にあるのは、まさにそのタイプである。
一応、リモコンで温度調節ができるようになっているのだけれど、「ちょうどいい」温度にできないのだ。
25度で、寒すぎるくらいに寒くなる。
そして、26度以上に設定することは禁じられている。
コンプレッサが、動いたり停止したりを激しく繰り替えすようになるので、故障の原因になるというのだ。
禁じられる前に、28度くらいに設定したら、生ぬるい風が出てきて、逆に息苦しくなった。
温度で調整できないので、代わりにモードで調整する。
クーラーを、ドライモードにする。 それでも、寒さに代わりはない。
仕方ないので、ファンモードにすると、冷房機能がストップするので、しばらくはホッとできるのだけれど、15分もすると、暑くなってくる。
結局普段は、我慢できる間はクーラーとして利用し、寒くなってきたら、しばらくファンモード。そして暑くなったらまたクーラーと。 結局27度くらいに温度設定してコンプレッサを動かしたり停止させたりしているのと同じことを手動でやっている。
もう少し快適に過ごすことはできないものか。と、悩んでしまう。
家では、クーラーをつけるときには部屋のドアを開けている。
冷気を部屋の外に出すことで、部屋の温度がちょうどよくなるのだ。
なんとももったいない使い方をしているけれど、そうでもしないと、クーラーで風邪を引いてしまう。
さすがに、電気代が気になって、事務所では窓を開けたままクーラーを付けるなんてことはしていないけれど、これでは冷房病になってしまう。何かいい方法はないものか?と考える毎日である。