体力
双子を出産した時、まだ現地採用の身分で日系の会社に勤務していた。
当然、出産・育児休暇も現地従業員と同じ条件。
出産・育児休暇は、最大で90日。
社会保険と会社からの手当てで、最初の45日は給与の100%が保障される。
後半45日は給与の50%が保障される。
だから、たいていのタイ女性は出産当日まで仕事をして、産後45日で職場復帰する。
子供は田舎の親に預けるとか、家族の誰かに手伝いに来てもらうとか。
私は経産婦で双子妊娠だったことから、後半はあまり動きまわると早めに生まれてしまう危険がある、と経験者に教えていただき、自己判断でかなり早めに休暇に入った。(それでも、出産の1ヵ月半前だったけれど)
産休で1ヵ月半使ってしまうと、産後は1ヵ月半しか休めない。
正直、このまま会社を辞めてしまおうかと思った。
体もまだ完全に回復しないままに双子の育児に突入し、夜も3時間おきの授乳があり、まとめて寝られない時期だった。
一方で、今復帰しておかないと、このままずっと、会社勤めが出来ず、家にいる生活になってしまうかもしれない。という危機感もあった。
結局、復帰して、昼は会社、夜は子育て、休日は長女の相手、という生活を送った。
そんなときによく助けてもらったのが、日本のビタミン剤。
体の疲れよりも、寝られない、ホッとする時間がない、という精神的に追い詰められた状態を救ってもらった。
そして、そういう生活に慣れた頃、やってしまったのだな。
朝早く起きて、自分の時間を確保。
読みたい本を読んだり、やりたいことをする時間を早朝に作ることにした。
当然、寝不足だけれど、幸せだった。
そんな生活をしばらく続けていたら、原因不明の歯痛に襲われた。
歯全部が痛くて、ものがかめない。
お医者さんに行っても原因が分からず、レントゲンをとっても異常なし。
結局痛み止めをもらって帰ってきた。
同じように、原因不明の体の不調を訴える友人がいた。
その子もやはり、体に無理をしていた。
痛み止めを飲まないと過ごせないひどい歯痛も、睡眠時間を増やすように心がけることで数日で治まった。
友人の場合も、同様だったよう。
あまり体に無理をかけすぎると、体がサインを出してくれるようになったのだと思う。
それでも、やりたいことはやりたいし、多少の無理をしなくては時間が捻出できない。
だから、私も友人も、また少しずつ、体と相談しながら、だましだまし、早起きを再開した。
「お互い、懲りないよね」
と、笑い合いながら。
あれから数年が経った。夜は続けて寝られるようになったし、自営業になったことで、自分の時間も自分で調節することで、割と自由に確保できるようになった。
それでも、普段の生活に、学生としての勉強の時間を割り込ませるには、睡眠時間を削る必要があった。
と言うわけで、昨日からまた、歯痛。
今回は全ての歯ではなく、親知らず。
以前から親知らずが少しずつ出てきていた。歯医者さんにも、「それ、抜かないとダメよ」と言われていた。でも、幸いなことに傷みがなかったので、そのままにしておいた。
それが急に痛み出したのだ。
ちょっと無理しすぎた、というサインなのかもしれない。
また、体と相談しながら、「もう少し、頑張れない?」と交渉する時期が来たのかもしれない。
歯の痛みは、タイの痛み止めを飲んだら15分後には治まった。
このまま、数日で痛みがひいてくれればいいのだけれど。