自慢の一品である、会社のメモ帳が到着した。
ワクワクしながら開けてみて、ボーゼン。
色が全然違う!!
もともとスタッフのデザインでは、濃い青と赤を使っていた。
しかし、会社に到着したのは、妙に明るい青とオレンジ色に近い朱色。
正直、最初のデザインの時の美しさが半減している。がっかりである。
IT部門責任者が恐れていた通りになってしまった。
カラーリングについても独学で知識を身につけているIT部門責任者によると、モニターで見る色というのは、1台1台のモニターごとに微妙に異なるそうで、自分のPCでデザインしたものを他のPCで再現すると色が異なっていたりするらしい。
(ためしに、デザインソフトで作成してあった画をPDFに印刷してみたら、はっきり認識できるほど色がずれていた。私にとっては、驚きの体験だった)
だから、印刷所にデザインを送る際には、色番号を指定したりして、色のずれが発生しないように注意する必要がある。
そのことはIT責任者からメモ作成スタッフに注意事項として伝えられていた。
でも、スタッフはピンとこなかったらしい。
印刷所と色の打ち合わせをすることなく、デザインを送信しただけだった。印刷所からも色の確認などの作業が行なわれず、そのまま印刷が開始され、出来上がったのは、我々のイメージとは異なる作品。
印刷所に問合せをすると、電話応対した技術者は不満そうに言った。
「画面上で表示される色と印刷の色が異なるのは当たり前でしょう」
当たり前の一言で済まされては困るのである。
色についての打ち合わせを行なわなかったスタッフも悪いけれど、印刷所も、色に関する問題があることを認識しているのであれば、印刷前に顧客としっかり打ち合わせをするべきなのではないか?
問題が発生する可能性を放置して「当たり前のこと」と言ってしまうのは、いかがなものか。
この問題は新しい問題ではなく、
タイの印刷業界とデザイン業界の間で長い間論争となっているらしい。
印刷業界の言い分:問題があることが分かりきっているのに、デザイン業界はいつまでたっても、画面上の色しか見ようとしない。
デザイン業界の言い分:問題があることが分かっているのに、印刷業界は、仕上がりの色をデザインの色に合わせる努力をしない。
以前日本の印刷会社でも、会社のグッズを作成したことがあったけれど、その際には、色がデザインした者のイメージに一致するかどうか、慎重な打ち合わせを重ねた上で、実際の印刷を開始したので、色のずれはほとんど発生しなかった。(一部ずれていたけれど、気になるほどではなかった)
少なくとも、仕上がりの色を顧客の指定の色に近づける調整を行なうことは、印刷所の仕事だと思う。
その意識が印刷所にない以上、これから何か発注する時には、色番の指定はもちろん、現物を見ながらの打ち合わせが欠かせないな、と実感した。
雑誌などで、*実物と写真の色は異なることがあります という注意書きがしてあることがあるけれど、あれの意味することが今回ようやく分かった。
それにしても、最後の最後の落とし穴で不本意なカラーで印刷してしまったメモ帳の数は1000個。
これを配り終えないかぎり、会社スタッフが作成してくれた美しいデザインのメモ帳が印刷されることはない・・・。
来年中には、美しいデザインのメモ帳を作成できますように!!