2010年01月12日(火)
魔法の本屋さん [タイで生活]
高校生の頃、私にとって特別な本屋さんがあった。
電車通学していた私は、数ヶ月に一度気が向くと途中下車してその書店に立ち寄るのが楽しみだった。
最初は、そこが特別だということに気づかなかった。
高校2年生になった頃だろうか、その書店でたまたま見かけて買った本のほとんどが自分にとって大切な本になっていることに気づいた。
高校生がお小遣いで買える本といえば文庫本だったのだけれど、何度も読み返したくなる本が多かったのだ。
それと気づいてからは、その書店に通うのがそれまでよりずっと楽しみになった。それからも、気になる本を見つけたり、長い間探していた本を見つけたり、その書店ではいろいろな本と出会った。
大学生になってからは学校の場所とその書店の場所が全く違う方角になってしまったのだが、それでもたまに、のぞいてみた。でも頻度は少なくなった。あまり頻繁に行って、自分にとって「特別な場所」が特別な場所でなくなることが怖かったのだ。
それでもその場所は、いつでも私の期待を裏切らず、行く度に他では見つからなかった本を見つけることができた。
タイに来て10年経ったということは、あの書店にも10年行ってないということだ。あの書店は、今もまだあの場所にあるだろうか。
特別な出会いはいつも、後から気づくものらしい。最近になって、タイにも私にとって特別な書店があることに気づいた。
そこに行くのは多分これからも年に数回だけれど、その度に今度はどんな本と出会えるのだろうと思うと、胸が高鳴ってしまう。多分私は、魔法の本屋さんの魔法にかかって、あの場所に恋してしまったのだ。
Posted by てんも at 00時39分