2007年02月04日(日)
能力の上限 [タイで生活]
翻訳会社をしているので、たまに翻訳者や通訳者を目指しているタイ人の方から連絡をいただく。先日、とても印象深い女性がいた。
通訳者志望というその彼女は
「日本語検定2級に合格しています」と言った。
残念ながらGIPUの求める条件に達していなかったので、弊社では1級合格者の方しかご登録いただけないと告げると、彼女はあきれた、というように私に言った。
「日本語1級ですか?1級って、すごくすごく難しいんですよ。」
2級が取れていれば十分ではないか、という彼女の気持ちはすごくすごくよく分かった。2級だって、難易度は高いのだから。
それでも、お客様の「ビジネスで大切な場面」でご紹介するには、
日本語1級の能力を身に付けていて、その上で専門知識を有していることが絶対条件になる。
おそらく、彼女の周りには1級合格者がいないのだろう。だから彼女は最難関の1級に合格することは「不可能」なことだと信じているのかもしれない。
本当は、日本語1級に合格することは通訳としてのスタート地点なのに。そして、タイには日本語1級合格者がたくさんいるのに。
この一件で、優秀な先輩、尊敬すべき師がいることの重要性を実感した。私自身もそうなのだが、目標となる方がいてくれるからこそ、自分のレベルが相対的にいかに低いかということ、そして、もっともっと頑張れる余地がある、ということを実感できるのだ。
「これで十分だろう」と、自分の能力の限界を決めてしまう前に、
「人間はここまでできるものなのだ」
と、自分の思い込みを打ち壊してくれるような素晴らしい方との出会いがあれば、人はもっともっと自分の能力を信じられるのだと思う。
Posted by てんも at 00時01分