2008年11月18日(火)
21世紀の国富論 [読書の記録]
筋が通っている英語の文章を読むと、頭がすっきりしゃっきりする。原さんの文章は日本語だが、論理的に書かれた英文を読んだ時のような爽快感が得られるのは、原さんが英語圏にいることが多いからだろうか。
本と向き合う第一弾として選んだ本だったけれど、専門用語を多用することなく、素人にもわかりやすく書かれていた。本当に頭が良い人は、こういう説明が可能なのだろう。
たとえば、「新しい資本主義のルールをつくる」の章では、
現在の株価はROEと強く関連するが、それ以前はROA、もっと前はEPSが重視されていた。株価を決める指標は、時代とともに、まるでファッションのように変化してきた。ROE経営は「すでにあるもの」の効率化を図ることはできても、「今はないが、将来つくるもの」の価値を最大化することはできない。
モノづくりにあたってR&D部門と生産部門を切り離せば、二つのあいだのフィードバックループは断たれてしまい、メーカーとしての強みは失われていく。内部留保は中長期の経営に不可欠。
この他に以下についても書かれている。
新しい技術がつくる新しい産業
会社の新しいガバナンスとは?
社会を支える新しい価値観
これからの日本への提言
原さんは、「新しい産業を生み出し、国の経済に豊かさをもたらす本質的なものは「新しい技術」にほかならない」という。
そして、製造業のノウハウを失っておらず、「機械の使い勝手をよくしたい」という発想ができる日本は優位にあるという。ポスト・コンピュータ時代の基幹産業において日本がイニシアティブをとるために、整えるべき体制について提唱している。
最後に原さんは書いている。「何事も簡単な方法はなく、粘り強く、地道に実行するしかありませんが、真に豊かな世界を実現するために、ともに一歩を踏み出しましょう」
Posted by てんも at 00時49分