2008年11月29日(土)
経済学思考の技術 [読書の記録]
統計的なデータを用いて議論をする際に注意が必要なのが、因果・相関の区別の難しさ。単なる同時発生傾向である「相関関係」に引きずられることなく、原因と結果の「因果関係」を掘り起こしていかなくてはならない。このために必要となるのが、「論理的関係を考える」ということ。
この本では、論理の基本を理解するために、以下の解説から入っている。
・演繹法と帰納法
・三段論法で誤った推論を確認する
・必要条件と十分条件
・逆・裏・対偶
・背理法
その後「経済学の基本設定」「現実経済を理解するための経済理論」「データと理論の合わせ技」「経済学思考の基本ルール10」と続き、最後に本書で身につけた技術を活かして現実の経済政策を考える「日本経済への処方箋」で締めくくられている。
必要条件と十分条件は、分かっていたつもりだけれど、実は正確に理解してはいなかったことに気づかされた。
例えば、
(前提A)すべての費用削減は利益率を向上させる
(前提B)すべての株価上昇は利益率向上により生じる
→(結論)すべての費用削減は株価上昇に結びつく
この推論に穴があることは必要条件と十分条件を区別していれば見破ることができる。
データを使って考える。推論をデータで検証する。そういう姿勢を身につけるために大切なことを教えてくれる本だ。
まずはこの本を、何度も繰り返し読もうと思う。
Posted by てんも at 00時07分