2006年09月15日(金)
配達を忘れられた店 [タイで生活]
近所のカオマンガイ屋さんは、丁寧な仕事をする。
別の言い方をすれば作業が遅い。
近くにあるので昼食の時間があまり取れないときなどに利用するのだけれど、注文してから10分は待たされる。
一品料理屋のいいところは「早い」「安い」「うまい」だと思う。なのにこの店は重要ポイントである「早い」が抜けているのだ。
開店当初は慣れていないから時間がかかるのだと思っていた。
でもあれからはや8年。相変わらず遅いところを見るとこれがこの店のペースなんだろう。
しかも昼過ぎには売り切れるように仕込んでいるので、1時近くに行くと余った素材を寄せ集めて作ってくれる。ご主人いわく、一人で店をやっているので販売終了後の皿洗いだけでも大変なのだとか。だから小さな店なのに大胆にも販売数を制限しているのだ。
こんな力の抜けた商売の仕方だとつぶれてしまいそうだけれど、なぜか常連さんだけが集まる店として長く続いている。
この店にはもう一つ特徴があって、ジュース類を置いていないのだ。私は水があれば満足だけれど、食事時にはジュースを飲みたいタイ人もかなり多い。
「オレンジジュース」
「ペプシ」
お客さんに注文されるたびにご主人は答える。
「まだ配達に来ないんだよねー」
客は仕方なく水を飲む。
隣は雑貨屋でジュースを置いているのだけれど、ご主人と雑貨屋の仲が悪いらしく、出前を頼むこともできない。
コカコーラやペプシを積んだトラックはよく見かけるのに、なぜこの店には商品を届けないのだろう。そしてなぜご主人は電話で催促するなりして、店に届けさせないのだろう。
それでもちゃんとお客さんが来るこの店には不思議な魅力があるのかもしれない。
Posted by てんも at 10時55分