2008年09月16日(火)
省エネモード [タイで生活]
病院で顔見知りの先生を見かけたので挨拶をしたのだけれど、先生は気づかずそのまま通り過ぎてしまった。
この先生、診療の時以外は体力温存のための省エネモードに入ってしまうのだ。先生はこのモードに入ると、自分の歩く道以外何も目に入らなくなる。
昼間は病院、夕方は自分のクリニック、夜は同じく医師をしている奥さんと協力して3人の子供の子育て。下の子が小さいので夜中のミルクもあるらしい。
だから先生はいつもボーッとしている。病院の廊下を歩くときはまっすぐ前を見つめて、足以外の全体の筋肉の力を抜いているかのような姿勢で猫背気味に無表情に歩く。診察室の前で待っている患者さんが挨拶をしても、先生の目には入らない。そのままボーッと診察室に入り、椅子に座るとようやく医師モードスイッチが入る。
医師モードに入っても無表情は変わらないけれど、目つきは格段に鋭くなる。
そんな先生なので、看護婦さんがうっかり脱脂綿を切らしたり、いつもの器具が揃っていなかったりすると抑揚のない声で「なぜそろえて置かないんだ」と無表情に問う。これは普通に怒られるよりよほど怖いらしい。
何かの拍子にこの先生が声を出して笑うことがあると、これはもう看護婦さんの間で大ニュースとなる。
先生の専門は耳鼻科。これからもタイでは珍しいあまり笑わない医師として、活躍していただきたい。
Posted by てんも at 00時37分