2007年03月17日(土)
おかしなタイ語 [タイで仕事]
タイを旅行したことがある人ならきっとどこかで目にしたことがある「おかしな日本語」。
おやつのパッケージとか、ホテルの案内板とか。敬語の使い方が間違っていたり、日本語ではない謎の文字が使われていたり、バラエティーに富んだ「おかしな日本語」が存在する。
実は、それと同じことがタイ語でも発生している。
タイ向け製品の仕様書、説明書のタイ語の中には「?」というものも少なくない。
明らかなタイプミスもあれば、どうしてこうなるの?と首をかしげたくなるおかしな間違いもある。おそらくタイ語が読めない人がレイアウト作業を行ったのだろう、タイ語でないタイ語もある。タイ人には決してできない大胆すぎるミスもある。
先日依頼されたマニュアル書のチェック&修正は、タイ人スタッフが絶句していた。修正、マイナーチェンジの度に異なる人間により異なるフォントでつぎはぎされた過程がはっきりと見て取れるのである。
なんだかちょっと、そのマニュアル書が可哀想になった。
「これから印刷された分は、ユーザーに目を通してもらえますように」と祈りながら意味不明の単語を修正し、できる限りのお化粧を施した。
Posted by てんも at 05時51分 パーマリンク
2007年03月10日(土)
正確な情報はどこにあるか。 [タイで仕事]
タイ語の法律の翻訳を依頼され、原稿を眺めているうちに妙なことに気づいた。法律には法律の型のようなものがあるのだが、その原稿はその型に従っていない。しかも、タイプミスとしか思えない変なスペルまで出てきた。
「これは絶対におかしい」
クライアントはタイのある官庁のウェブサイトで公開されているタイ語の法律をダウンロードしていた。その原稿には明らかに誤りが含まれているので、法律を扱う専門機関のサイトで公開されている原稿を翻訳することを提案したのだが、クライアントは「官庁のウェブサイトで公開されている法律文に誤りがある」ことが信じられず、私の説明に半信半疑のようだった。
クライアントの気持ちも分かる。政府機関ウェブサイトで公開している情報が誤っているはずがない。しかも法律文である。
これは大いに問題ありだな、と思い、その政府機関に勤務している友人に尋ねてみた。
政府高官の側で仕事をしている彼はあっさりと言った。
「あー、それは多分、ウェブサイト用に法律文を打ち直して、その時にミスしたんじゃないかな。困ったもんだね。ははは。」
法律文を打ち直してはいけません。
しかも笑い事で済ませてはいけません。
多くのタイ人には「人間のやることだもの。ミスだってあるさ」という共通の認識があるような気がする。そして部下や相手のミスを許すことが「大人」の美徳であり、寛大な人間の証であると考えられているような気がする。
ミスや不良を限りなくゼロに近づけるためにチェック機能を整備し、継続して努力する日本の改善運動とは、「ミス」に対する考え方が根本的に異なっているのだ。
それではタイの全てがいい加減なのか、といえば決してそうではなく、「ミスは許されない」という認識で仕事をしている場所もある。前出の法律専門機関がそうである。
肝心なのは、「だからタイはいい加減で・・・」と決め付けてしまうことではなく、「どこに正確な情報が存在するのか」を見極めることだと思う。それは非常に難しいことではあるのだけれど。
Posted by てんも at 00時10分 パーマリンク
2007年03月06日(火)
暖かいことば [タイで仕事]
年度末ということもあり、少々オーバーフロー気味な今日この頃、ある方より「翻訳作業の方は如何ですか?・・・(中略)・・・本当に何かあったら連絡してください」というメッセージをいただいた。
難易度の高い重要資料の翻訳の仕事があり、この方にお願いしたかったのだが、スケジュールが合わず断念した。それを気にして、ご自身もお忙しいのにも関わらずわざわざメールをいただいたのだ。
心にあまり余裕のない時にもらう暖かいことばは、グングン心に染みる。なんだかとても嬉しくて、元気が出た。
Posted by てんも at 08時44分 パーマリンク
2007年02月26日(月)
通訳という仕事 [タイで仕事]
その道を極めようと精進している人にとってそうであるように、私にとって通訳という仕事は神聖な仕事だ。
通訳は、クライアントに信頼いただいて、初めて成立する。
クライアントの「自分の伝えたいことを通訳が相手に正確に伝えてくれる」という前提で話をする。
だから通訳はクライアントの伝えたいことを正確に伝えるために自身の技術の向上に努力する。
通訳という仕事は怖い仕事だ。その気になればクライアントにわざと誤情報を伝えることもできてしまう。
そこにほんの少しでも保身の気持ちや怠惰な気持ちがあって、言葉の通じないクライアントを裏切ろうとすれば簡単にできてしまう。
だからこそ、通訳の場に私情を挟むことは許されない。
その場しのぎのいい加減な嘘がいつか必ずばれるように、いい加減な仕事はいつか必ず周囲の知るところとなる。
つい先日、通訳の仕事を冒涜するような行為を見て、そんなことを再認識させられた。
通訳者にはクライアントの「想い」が託されているのだ。その重みを忘れてはいけない。自戒を込めて。
Posted by てんも at 04時38分 パーマリンク
2006年12月08日(金)
好きなことを仕事にする [タイで仕事]
昨日お客様にとても面白い質問をされた。
なぜ、翻訳会社をしているのか、というお客様の問いに私が「翻訳が好きだから」と答えたときだった。
「好きなことを仕事にされて、嫌になったりしないんですか?」
そう言われるまで全く気づかなかったけれど、確かに「好きなことは仕事にすると好きなだけではいられなくなる」というのはよく言われること。
ケーキ作り大好きな人でもケーキ屋さんを開業すればケーキの気分じゃない日でもケーキを焼き続けなければいけない。
だから、趣味は趣味のままにしておく方がずっと好きでいられる。
そんなことを聞いたことがある。
なのになぜ、私は好きなことを仕事にして、楽しんで仕事できているのだろう。
ちょこっと考えて思い当たる原因が二つあった。
一つは私自身も会社もまだまだ未熟で成長期にあるために、次々に課題が出てきて、挑戦し続けていられること。
もう一つはタイの日本人社会の中でチャンスが与えられやすく、努力すれば必ず報われるという恵まれた環境にあること。
きっとそんなことが、好きなことを仕事にしながら今もなお自分の仕事を好きでいられる原因なんじゃないかな。
Posted by てんも at 01時06分 パーマリンク
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